自由に造形できる粘土で、乾くと透明になる粘土について知りたい。
レジンみたいな透明感で手で造形できる粘土はない?
粘土は通常、白色や灰色、褐色などで不透明なものが多いですが、樹脂を主成分とした粘土の中には、固まった状態で透明な粘土がいくつかあります。
ここでは、透明になる粘土を素材別に紹介します。
透明粘土の種類
透明粘土はその素材と硬化(乾燥)タイプに応じて4つの種類があります。
- すけるくん(自然乾燥タイプ)
- 透明粘土(反応硬化タイプ)
- おゆまる(冷却硬化タイプ)
- FIMOエフェクト 半透明(加熱硬化タイプ)
どの粘土も合成樹脂が主成分となっている、艶やかな仕上がりになる粘土になります。
すけるくんは「グレイス」「プロフェッショナルA」などと同じ樹脂粘土の仲間です。
おゆまるはお湯で温めることで形を変えられる樹脂の塊で、プラスチック粘土とも呼ばれることがあります。
FIMOエフェクト半透明はオーブン粘土「FIMO」シリーズの仲間で、同じFIMOシリーズとの相性の良い粘土になります。
それぞれ得意、不得意がありますので、それぞれについて詳しく説明していきます。
すけるくん
すけるくんは自然乾燥タイプの透明粘土で、「プロフェッショナルA」などの樹脂粘土の仲間になります。
主な樹脂成分は酢酸ビニル系の樹脂で、手で形を変えられる木工用ボンドのようなイメージをしていただけるとわかりやすいかと思います。
粘土の状態では白色で、水彩絵の具やアクリル絵の具などを混色可能です。透明性を活かす場合、透明水彩絵の具を利用すると良いです。
すけるくん単体で使用しても良いですし、他の樹脂粘土に混ぜて、透明感を調整する為に使用する利用方法もあります。
単体だと少し使いにくいですが、他の樹脂粘土に混ぜることで格段に使いやすくなります。
市販の自然乾燥型粘土とも混ぜられるものが多く、オリジナリティが出しやすいのがメリットですが、造形中に中が透けて見えないので、気泡や埃などが混入してしまっていてもわかりにくいというデメリットもあります。
透明粘土(㈱サン工業)
透明粘土という名前の粘土も販売されています。
シリコーン樹脂を主成分とした粘土で、主剤と硬化剤を混ぜることにより、硬化が始まり、時間がたつと固まる反応硬化タイプの透明粘土になります。
強気な名前の通り、透明粘土の中でも高い透明性があり、透き通った作品を作りたい場合はおすすめになります。
あまりに透明なので、主剤と硬化剤を混ぜるときに気泡やほこりが入ってしまうのに注意しながら作品制作する必要がある点が難点です。
アルコールでふき取ったり、テープでほこりを取ったりしたクリアファイルなどに挟んで伸ばしながら2成分を混ぜると、混入を極力防いで準備することができるかと思います。
また、主成分のシリコーンは他の素材との合わせて使うのにあまり向いていません。
シリコーン製の透明粘土を使用する場合は、単体で作品を完成させるつもりで作ってみてください。
おゆまる
おゆまるはお湯につけて温めることで形を変えることができるようになる造形材料です。
成分は低密度ポリエチレンという熱可塑性の合成樹脂でできています。
お湯で約80℃付近になると軟化するため、素手での造形は難しい材料ですが、丸めて球を作ったり、すでにある型に押し付けて形を作ったりすることができます。
他の粘土と違って、さめるとすぐに硬くなるので、作業性が良いことが特徴です。
素手での作品制作が困難なので創作自由度が狭い反面、水を含まない材料でもあるので、既にある原型を押し付けて簡易的な型を作ることも可能です。
硬化後はスーパーボールのような弾力性があるので、作った作品が壊れにくいというものメリットです。
FIMOエフェクト 半透明
FIMOエフェクト 半透明は造形後にオーブンで加熱することによって硬化する加熱硬化型の透明粘土です。
ベースとなっているFIMOは多彩なカラーバリエーションや様々なテクスチャの粘土を取りそろえたポリマークレイのシリーズで、半透明もこのラインナップの一つになります。
先の2つの透明粘土に比べると透明性はあまり高くありませんが、他のFIMOシリーズと合わせて使える点や、加熱するまで固まらないので、長時間かけて作品を作りたい場合などにはおススメの透明粘土になります。
デメリットは加熱時に温度が高くなりすぎると焦げてしまうことがある点で、特にオーブントースターを使う場合は、熱源に近い箇所が熱くなりすぎることがあるので、アルミ箔などで保護して少し長めに加熱すると失敗しにくくなります。
番外 粘土ジェル
ジェルネイルの加飾用途で使用される粘土ジェルという材料も、透明粘土に近い材料です。
ジェルネイルと同様、紫外線で硬化しますので、形を作ってすぐに固められるのが最大の魅力です。
光で硬化させる仕組みから、完成品の透明度も高いです。
デメリットは形を保ち続けているのが苦手なので、作品を作るときはクリアファイルなどのはがれやすい素材を支持体にして、少しずつ形を作っていくと比較的作りやすいかと思います。
少し形が崩れやすいので、大きすぎない作品を作るうえでは候補に入れても良いのではないかと思います。
透明粘土を使う上での共通の注意点
3+1種類の透明粘土について紹介しましたが、透き通るきれいな作品を作るうえで共通して気をつけなくてはいけないことは「異物混入」です。
作業エリアのごみや埃などはもちろん、素手で直接作業すると手垢などが粘土に混ざってしまい、完成品が汚くなってしまうこともあります。
また、混ぜる際に入る気泡なども作品のイメージを壊してしまう場合があります。
対策としては、手袋をつけたり、クリアファイル越しに作業するなどで直接粘土に触れずに作業することで、透明粘土に入る汚れをある程度軽減できます。
特に乾燥前は透明でないすけるくんについては、作業環境や使用する器具などを充分にきれいにしてから使うように注意してください。
樹脂粘土も透明粘土じゃないの?
樹脂粘土は木工用ボンドとデンプンが主成分の粘土です。
木工用ボンドは乾燥すると透明になりますがデンプンは白いままなので、樹脂粘土の樹脂比率が高いものほど透明感があり、デンプン比率が高いものほど白く不透明になっていきます。
樹脂粘土を販売するメーカーはそれぞれ、樹脂比率が高く透明感のある粘土と、デンプン比率が高く白く不透明な粘土のそれぞれの粘土を出しています。
光がとおる程度の透明感で、作品の向こうが見えるほどの透明感はありませんので、樹脂粘土を透明粘土ということはあまりありません。
樹脂粘土について詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
まとめ
透明粘土を硬化のメカニズム別に分けて解説しました。
具体的に作りたいものが決まっていたり、既にFIMOシリーズを使用しているなどの理由がない場合は、まずは「すけるくん」から使うことをお勧めします。
特別な道具を必要とせず、透明粘土の扱いの難しさやどんな透明感になるのかという点がわかりやすいです。
透明粘土は他の粘土に比べると癖が強く、使い始めは失敗することもあるかと思いますが、うまく作れた時の美しさは他にないものがありますので、興味を持った方は一度挑戦してみてください。
本ブログでは、他にもいろいろな粘土の解説や、粘土を扱う上でのコツなどを紹介していますので、興味がありましたら他の記事もご覧ください。
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