石粉粘土ってどんな粘土なの?
石粉粘土はどんな作品を作るのに使う粘土なの?
比較的古くからある石粉粘土ですが、ハンドメイドが旺盛な昨今、仕上がりが美しい作品を作れることで再び注目されています。
ここではそんな石粉粘土について、いろいろな観点から解説していきたいと思います。
石粉粘土とは
石粉粘土は、原料に石の粉末を使用し、水溶性の糊剤と混ぜて粘土状にした自然乾燥型の造形材料のことを言います。
大抵の場合は紙繊維などで強度を補っている場合が多いため、紙粘土の仲間とも言えます。
しかし、造形のしやすさ、乾燥後の加工のしやすさ、仕上がりの美しさなどが紙粘土より頭一つとびぬけているので、別の粘土として分類されます。
石粉粘土は大きく分けて汎用的に使いやすいラドールタイプと乾燥後の強度に優れるマイネッタ・ファンドタイプの大きく二つに分けられます。
ラドールタイプは㈱パジコが多くの種類を扱っており、「石塑粘土」という名前でも呼ばれています。
石塑粘土については、関連記事で詳しく説明していますので、興味がある方はご覧ください。
マイネッタ・ファンドタイプは、粘りが強く、小さな作品や薄い作品を作りやすく、完成後も壊れにくいのが特徴です。
手芸分野ではサン工業のマイネッタ、ホビー分野ではボークスアートクレイのファンドが代表的な商品になります。
石粉粘土を使うメリット・デメリット
石粉粘土を使うメリット
石粉粘土を使うメリットは大きく6つあります。
- 水性で自然乾燥なので、特別な器具が要らない。
- 芯材を使用した作品制作ができる。
- 乾燥時の収縮が少ない。(5%前後)
- 乾燥後の加工が容易。
- 仕上がりが美しい。
- 作品の劣化が起きにくい。
他分野で広く使われる石粉粘土ですが、作る上でも飾ったりプレゼントしたりする上でも有用な特徴が多いことがわかります。
初期費用をかけずに、本格的な作品を作ってみたいという場合にまず試すべき粘土といえます。
近年よく使用される軽量粘土や樹脂粘土、ポリマークレイといった、樹脂分が主体の粘土に比べて作品の劣化が起きにくいのも、ハンドメイド作品を販売したりする上でトラブルの種を減らせる良い特徴です。
石粉粘土を使うデメリット
良いことづくめのように見える石粉粘土ですが、下記のようなデメリットもあります。
- 作品が重くなりやすい。
- 落下などの衝撃で壊れやすい。
特に大型の作品や、身に着ける前提の作品などは、石粉粘土で制作すると重くなりやすく完成品を扱いにくくなる為、芯を使ったり軽量粘土で作ったりといった工夫が必要になります。
また、加工がしやすい反面、柔軟性に乏しいので、落下などの衝撃で破損しやすいというのもデメリットの一つです。
完成品には下地材やニスを塗ることである程度破損することを予防することができます。
ただ、薄かったり細かったりする作品には柔軟性があって壊れにくい樹脂粘土などを使用するとより破損を防げますので、作品に応じて材料を選ぶようにしましょう。
石粉粘土で作ることのできる作品
石粉粘土は、癖が少なく、加工が容易なので、どんな作品にも使用することができます。
その中でも、特に各分野で使用される代表的な作品がありますので例を挙げて紹介していきます。
アート分野
アート分野では、塑像制作に使用されることが多いです。
高等学校の美術専科や専門学校などの授業でも使用されることのある材料です。
収縮が少なく、美術大学の入試などで使用される水粘土に使用感が似ている反面、保存性が高いという面でも重宝される材料となります。
美術大学以降では、繰り返し使えて癖の少ない水粘土が主流となっていきますが、アーティストとして活動されている方にも石粉粘土を使用している方は多くいます。
創作人形の分野は、石粉粘土を使用されていることが多く、球体関節人形は石粉粘土を使用して作られている場合は多いです。
手芸分野
手芸分野では、ブローチやアクセサリーパーツの制作に使用されます。
また、材料自体のにおいが少ない特徴を生かして、アロマストーンを制作される方もいらっしゃいます。
30~40年前に流行した壁掛けの少女のレリーフは石粉粘土を使って作られています。
当時は小さかったですが、私の母もこの作品を作っていました。
また、メインどころではないですが、クレイフラワーでも使用されることがあります。
主流の軽量粘土や樹脂粘土に比べると重さが出るので、芯にしっかりと支持させたり、小さめの花を作成したりと工夫は要りますが、他の粘土とは違った面白い質感が出ます。
マイネッタ・ファンド系の粘土限定ですが、薄く延ばして紐や帯状にしても加工でき、強度も出るので、粘土のかごを編むという使い方をすることもあります。
ホビー分野
主に男性向けホビー分野では、フィギュア制作に使用されます。
石粉粘土は、材料の値段も高くなく、特別な器具を必要としないので、フィギュア造形の入門的な材料として多くの人が通る材料になります。
しかし、入門的な立ち位置だけでなく、恐竜や特撮系などの大型のフィギュアを制作する場合は、熟練の原型師の方も使用する、長いスパンで使用できる粘土材料になります。
また、ジオラマ制作では、背景や地面を作ることにも使用され、車両の轍をつけたり反り立つ山を作成したりと、メインとなる模型にストーリー性を持たせるのに重宝します。
まとめ
石粉粘土とは何なのかという点についていろいろな側面から説明しました。
石粉粘土は、石粉を使用した仕上がりの美しい自然乾燥型の粘土で、大抵の場合は分類上、紙粘土の仲間となる場合の多い粘土です。
しかし、とても美しい仕上がりになることから、美術・アート分野のみならず、手芸・ハンドクラフト分野、ホビー分野など老弱男女を問わず、広く親しまれている粘土になります。
特にラドール系粘土は、癖が少なく、あまりクレイクラフトに触れてこなかった方でも抵抗なく制作に取り組めると思いますので、興味がある方は一度触ってみても良いかと思います。
本ブログでは、制作したい作品などに応じて、適した素材、おすすめの素材を紹介していますので、既に作りたいものが決まっているという方は、併せて他の記事も読んでいただけると幸いです。