現在「オーブン粘土」と呼ばれる粘土は性質の違う2種類の粘土を指して使われています。
自分が使おうとしているオーブン粘土はどちらの種類なのか、具体的な製品も絡めて説明してきたいと思います。
オーブン粘土とは
オーブン粘土は、オーブンやトースターなどで加熱することで粘土を硬化させることのできる粘土を指します。
オーブン粘土には、陶器のような風合いになるオーブン陶土タイプと樹脂の成型品のような風合いのポリマークレイタイプの2種類が流通しています。
伝統的な陶土、磁器土を硬化させる為には数百度~千度以上の温度をかけなくてはいけませんが、オーブン粘土はこの温度をぐっと低く、120~180℃で硬化するように作られています。
オーブン陶土タイプ
オーブン陶土タイプは、箸置きや陶器風の置物などを作る際に使われる粘土です。
特徴的なのは実際に「粘土」が使われている点で、水を含んでいるので、オーブンで焼く前に自然乾燥させ、水を抜く必要があります。
自然乾燥させた後、180℃前後で焼成し、完成品を得るタイプになります。
オーブン陶土タイプは粘土に配合した樹脂粉末を加熱により融解させ、焼成後に冷却硬化させることで、本来壊れやすい粘土の作品の強度を補う構造になっています。
ヤコオーブン陶土が代表的な粘土で、100均などでも売られています。
ポリマークレイタイプ
ポリマークレイタイプは、フィギュアの原型制作やミニチュア制作など繊細な造形をする際に使われる粘土です。
オーブン陶土タイプとは異なり、水を含まない為、納得がいったらすぐにオーブンで固めることができます。
焼成温度は120~160℃程度で、あまり高い温度で焼いたり、トースターの熱源に近くなってしまったりすると樹脂が焦げます。
ポリマークレイタイプは樹脂が主成分で、液体成分である可塑剤を樹脂に取り込ませることで硬化します。そのため、規定外に高い温度で硬化させてもあまり意味がありません。
フィギュア原型制作ではスカルピーが、ミニチュア制作などではFIMOが有名です。
スカルピーは固い作品ができ、削りややすり掛けなどの作業がしやすいです。
FIMOはカラーバリエーションが豊富で、硬化後柔軟で壊れにくい作品ができます。
ポリマークレイに関しては、さらに詳しく解説している記事がありますので、興味のある方はそちらもご覧ください。
番外:オーブンで硬化するシリコン粘土
オーブン粘土と呼ばれることは少ないですが、オーブンで硬化するタイプのシリコン製の粘土もあります。
粘土自体も少し造形しにくいですが、完成後はシリコン製の作品ができますので、柔軟で安全性の高い粘土になります。子供と遊んで気に入った作品ができたら固めるという用途での利用になるかと思います。
シリコンねんど6色セットなどが代表的な商品になります。
まとめ
オーブン粘土には大きく分けて2種類があります。
- オーブン陶土タイプ
- ポリマークレイタイプ
造形材料の業界にいた際は、ポリマークレイタイプのほうがオーブン粘土と言われているケースが多かった印象があります。
子供と遊べてオーブンで固められる粘土をお探しの場合はシリコンねんどの選択肢もあります。
いずれにせよ、作りたい作品に応じて適切な粘土を選ぶことが何より重要です。
「オーブン粘土」という文字だけで通販で購入して後悔しないように、それぞれの特徴を理解しましょう。
本サイトでは、他にも粘土に関する記事をいくつか公開していますので、併せて見ていただけると幸いです。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] あわせて読みたい オーブン粘土の種類 現在「オーブン粘土」と呼ばれる粘土は性質の違う2種類の粘土を指して使われています。 自分が使おうとしているオーブン粘土はどちらの […]