粘土で立体を作った後はそのまま着色していいの?
粘土にそのまま筆を入れるとぼこぼこしていてきれいに仕上がらない。
粘土作品を作るうえで難関となる筆入れや着色。せっかくうまく形が作れても、ここがうまくいかないと作品全体の印象が崩れてしまうなどの可能性が出てきます。
また、紙粘土などの繊維を含む粘土は、乾燥して収縮するとどうしても表面に気づきにくい凹凸ができてしまうという傾向があります。
ここでは、粘土で作った作品をきれいに仕上げるための方法を解説していきます。
粘土作品をきれいに仕上げるための方法
- 手に水をつけて作品全体を均一にする
- 乾燥後、やすりで削る
- 下地材を塗る(ジェッソ、胡粉、サーフェイサーなど)
水系の粘土であれば、手や指に水をつけて作品表面を均すと粘土がとけて凹んだ部分に入り、作品を均一にならせます。
油性のポリマークレイにはクレイソフナーが水の代わりになりますが、手で直接触れず、筆などで作業することをお勧めします。
乾燥後の修正はやすりが良いです。広い面は紙やすり、局面はスポンジやすり、細かい部分は極細やすりなどで対処します。自然乾燥タイプの樹脂粘土やほとんどの軽量粘土はやすり掛けはできません。
下地材は、概ね粘土の状態での対策が終わった後に粘土表面を均一化し、塗料の定着と発色を良くする為に塗る液材になります。球体関節人形やフィギュア分野では良く行われる手法です。
それぞれについて細かく説明していきます。
手に水をつけて作品全体を均一にする
水性の粘土は水に接触すると溶けます。その性質を利用し、細かな凹凸を水で均一に均して、表面をきれいに仕上げます。
シンプルな方法ですが、紙粘土や石粉粘土から、樹脂系の粘土に至るまでほとんどの粘土で使える方法です。これをやるかやらないかで作品表面の仕上がりがかなり変わります。
水で溶けないポリマークレイなどの油性の粘土に関しては、クレイソフナーというポリマークレイを柔らかくする為の専用の液がメーカー毎に出ていますので、そちらを筆などに浸けて作品表面を撫でることで、同じような効果が得られます。
注意点は、水をつけすぎないことです。
水をつけすぎると、粘土が水を吸いすぎてヒケが大きくなり、ひび割れや乾燥後の凹凸の発生につながります。
ポリマークレイでも同様に、ソフナーをつけすぎないように気をつけましょう。
乾燥後にやすりで削る
石粉粘土やポリマークレイの一部では、乾燥後にやすりで削ることで、表面を平滑にすることができます。
自然乾燥型の粘土では特にですが、どんな粘土も硬化後に収縮が起こり、成分の偏りの影響で多少の凹凸が出てしまいます。
この細かな凹凸を均す為に、やすりがけは綺麗に仕上げるためには重要な作業になります。
乾燥前の作品の仕上げ方にもよりますが、600~1000番程度のやすりで作品全体を仕上げると、かなりきれいに作品が仕上がります。
ただ、粘土自体の強度が弱い土粘土や、弾力のある樹脂粘土、軽量粘土などでは使えない手法になります。
一般的な紙やすりは平面に近い面、局面はスポンジやすり、細かい場所のやすり掛けは極細やすりなど、作品や削る場所に合わせて、良いものを選んでください。
アート作品などで人と同じくらいの大きさの作品を作る場合は、軽量粘土でもやすり掛けができるタイプのものを使用すると、制作後の取り扱いに便利です。
下地材を塗る(ジェッソ、胡粉、サーフェイサーなど)
粘土の状態でできることがすべて終わったら、下地材を塗ると、作品全体がきれいに仕上がります。
下地材は、細かく粉砕された鉱物や貝殻が高濃度で含まれた液体で、地塗り材とも言います。
塗って乾かすと作品表面に非常に細かい粒子の層ができます。
粘土自体の質感を残したい場合は使用しない方が良いですが、伝統工芸の人形やフィギュアなど、立体を作った後に細密な塗装や筆入れをする場合は、下地材を塗ることをお勧めします。
創作人形や球体関節人形の下地を作る場合、液体タイプの下地材に水彩絵の具を混ぜて全体の肌色を作るケースもあります。
ジェッソは本来、キャンパスの目止めなどに使用するものですが、粘土作品にも使用できます。樹脂分が多く、アクリル絵の具などで塗装する場合は良いと思います。
胡粉は日本画の白色などでも使用される貝殻を粉砕した下地材で、以前は粉を溶いた液体の状態で売られているものもありましたが、現在では、粉末タイプのもののみになります。
胡粉を定着させるための膠(にかわ)が既に入っていてぬるま湯に溶くだけで使用できるタイプのものが比較的簡単に使えます。水性の絵具や墨などと相性が良いかと思います。
サーフェイサーは筆塗タイプ、スプレータイプのものがある男性向けホビー分野で使用されることの多い下地材です。
特にスプレータイプは筆ムラなどができにくくおすすめです。
ラッカー塗料などの揮発性塗料と相性が良く、乾燥が早いのが特徴です。
大型の作品やコスプレ造形などの場合は造形ベースという樹脂比率が高い下地材も選択肢に入ります。
筆目が残りやすく、うまく塗るのにコツが要りますが、弾力のある被膜ができ、本体の素材が弱い場合などに補強の意味でも活躍します。
粘土の質感を残した上で下地を作りたい場合、液体粘土を塗るというのも一つの方法になります。
粘土の成分はそのままに、液体状やペースト状にしたもので、強度が欲しい場合などは、液状の糊(デンプンのりや木工用ボンドなど)を足してオリジナルの仕上がりを作るのも比較的やりやすい材料になります。
液体粘土については他の記事でもまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。
まとめ
粘土をきれいに仕上げる方法について解説しました。
①粘土の状態のときに粘土を水で溶かして均す方法
②乾いてからやすり掛けして均一にする方法
③作品に下地材を塗って作品表面を細かい粒子で覆う方法
の3パターンがあります。
特に下地材については、凝りだすといろいろなものがあり非常に奥が深いです。
粘土作品は立体を作るだけで終わりということは少ないので、仕上げでは失敗しないように参考にして頂けたらと思います。
本ブログでは粘土で作品を作る上でのコツやカテゴリーごとのおすすめの粘土などを紹介しています。
お時間のある方は合わせて読んでいただけると幸いです。
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