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フィギュア原型制作で使う工具・材料を工程別に紹介

フィギュア原型に慣れてきたけど突き詰めるとどんな工具があるの?

何とかフィギュア原型を作り始めたけど効率が良くなる工具ってある?

細かい仕上げがうまくいかないけど何かいいものある?

最小限の装備でフィギュア原型を制作してみると、作りにくい点や作業が難しい箇所などが出てくるかと思います。

本内容では、原型制作の塑像・作り込みあると役立つ工具について紹介したいと思います。

フィギュア原型制作が初めてという方はこちらの記事も併せてご覧ください。

目次

原型制作・塑造の段階で使う工具・材料

フィギュアの原型制作で一番初めの工程となるのが不定形の粘土から形を作っていく塑造の段階です。

この段階では、製作の自由度が高い反面、ちょっとした力で形が変わりやすいというリスクもある段階です。

粘土を使って原型制作をする段階で、使用する工具を紹介します。

ターンテーブル

 ターンテーブルは、粘土で形を作る際に使用する回転する制作台です。

作品を360°見渡せる回転台。
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 フィギュアのような立体的な造形物は、2次元と違って正面のみならず360°どこから見ても違和感のないように作っていく必要があります。

 これを作り込んでいく段階で、手で持って作業していると、意外と持ち手に力が入ってしまったり、体温が粘土に伝わってしまったりして形が崩れてしまう場合があります。

 これを防ぐために、回転できる作業台があると重宝します。

 また、限られたスペースで制作をする上でも効率が良いので安価なもので構いませんので、用意すると良いかと思います。

アルミ線

 アルミ線は、フィギュアの制作に入る前に骨格部分のアタリをつけるために使用する芯材になる材料です。

 金属線の中では、加工しやすく、錆びないので、粘土の中に埋め込んでも問題にならない為、よく使用されます。

 アルミ線自体には粘土がくっつきにくいので、基本的に2本のアルミ線をねじねじして撚り線を作ってから芯を作っていきます。

 こうすることで芯に凹凸ができて粘土が物理的に食いつきやすくなるという仕組みです。

特に人や動物など、手足のある作品の芯に使用します。

 球体がベースの作品には、アルミ箔を丸めたものや、石粉粘土などの比較的安価な粘土を丸めて芯にするのも良いかと思います。

ヘラ(スパチュラ)

 ある程度アウトラインができたら形を作っていく道具になります。

 ヘラは用途や使い勝手により様々な種類があるので、自分に合うものを選んでいくか、木べらや割りばしなどをナイフで加工して使いやすいものを作っていくと良いです。

 人にもよりますが、比較的よく使う形はペン先のように尖った形のものとアーチのかかった薄い面があるものです。

ヘラの最初の1本に。かゆいところに手が届くカーブ付き。
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 また、芯材に粘土を盛りつけていく際に、盛り付けすぎてしまった粘土をそぎ落としていくかきべらというヘラもあるので、こちらも1本は持っていると良いかと思います。

盛りすぎた粘土を掻き落とすヘラ
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 芯は合っているのになんだか足が短く見えるなどの場合は、脚部分が太くなってしまっていることが原因だったりするので、かきべらで粘土をそいで調整しましょう。

 ある程度造形が進んだ段階で、粘土を水などで軽く均して塑像の段階での仕上げを行うとサフを吹いたときに不要な凹凸がなくてよいのですが、指と指の間や唇の間など、仕上げを行いにくい箇所を均したり、ごみを取り除いたりするのに、小さめの筆があると便利です。

 基本的に細かい場所に使用するので、毛量が多すぎず、コシが弱すぎない筆がおすすめです。

 ポリマークレイを使用する場合は、クレイソフナーを筆に含ませて均すことになると思うので、平筆もあると作業がしやすくなるかと思います。

 最終的な顔などの描画用とは異なる用途なので、ここでは高価なものを選ぶ必要はないです。

原型制作・作り込みの段階で使う工具・材料

 形が大体決まり、粘土を固めた後の段階で使用する工具です。

 相手が硬いので、切ったり削ったりして修正していく道具になります。

 がっつり修正したい場合や細かく修正したい場合で同じ工具でも適するものが変わってきますので、それらも併せて紹介していきます。

 削りすぎたり硬化時に割れてしまったりした場合は、制作で使用した材料を使用するか、エポキシパテ、ポリパテなどで補修すると、強度が出て壊れにくくなります。

デザインナイフ

 デザインナイフは形がある程度できている段階で、細部を掘り下げていくのに基本的に使用する刃物です。

 比較的がっつりと修正する場合は刃の厚いスタンダードなタイプのものを使用し、繊細な部分の細かな修正の場合はメスのような刃の薄いタイプのものを使用すると、使い勝手が良いです。

フィギュアの細かい仕上げに。(替え刃別売)
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 特に刃の薄いタイプでゴリゴリ削ろうとすると、すっぽ抜けた時に手指もスパッと切れてしまうので、使い方には十分注意してください。

彫刻刀

 彫刻刀は、学校などでも使用したことがあると思いますが、デザインナイフと違い、刃の形が複数あり、用途に合った使い方ができる刃物になります。

 特に曲線表現をしたい場合の丸刀、シャープな溝を掘りたい場合のV刀はデザインナイフとは違った場面で役に立つ場合が多いので、数本用意しておくと、いざと言う時便利かと思います。

刃の種類の多いパワーグリップ彫刻刀。導入4本組

 また、ポリパテやモデリングワックスなど、彫刻的なアプローチで制作していく場合も、初期段階の形作りの段階では彫刻刀があると作業性が良いです。

ホビーのこ

 ホビーのこは、模型やフィギュアのパーツを切断するために使用する小型ののこぎりです。

構図決定後のパーツ分けはホビーのこでバッサリ切断。
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 人型のフィギュアの場合、腕の胴体側や脚の内側などは、道具が入りにくく加工がしにくいので、そういった箇所の加工や仕上げを行うために、ホビーのこで胴体から切り離して加工すると全体が綺麗に仕上がります。

 また、乾燥後の大幅な修正をする場合にも役に立ちます。

 イベント出展を視野に入れる際に、各パーツを複製する場合も、各パーツに分けて複製する必要がありますので、意外といろんな場面で使用することのある道具になります。

やすり

 フィギュアの塑像全体がある程度作りこめた後、細部のガサつきやバリを取って、全体を綺麗に整える際に使用するのにやすりを使用します。

 乾燥した粘土はそのままだと結構凹凸がありますので、それを削って均すことで、のちの下地塗り、複製、彩色が綺麗にできるようにする工程になります。

 また、刃物では調整できない微妙な調整もやすりで行えます。

 比較的手が入りやすい部分はシート状のやすりやスポンジ状のやすりを使用して削っていきます。

 指などの間など、皮1枚分だけ削りたいという場合は、伸縮性がある研磨フィルムやヘラを加工したやすりを使用すると、自分が思った通りの仕上がりにしやすいです。

皮一枚の研磨に研磨フィルム。こだわりたい作品の仕上げに。
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ハンドグラインダー(リューター)

 ハンドグラインダー(リューター)はモーターで高速回転するやすりのようなもので、エポパテ、ポリパテなどの硬い素材を粗削りしたり、大型の作品を研磨したりするときに重宝する道具です。

 削りの粗さはピットと呼ばれる先端部分の取り換えである程度調節できますが、力加減が調整しにくく、目の細かいピットがあまりないため、最後の仕上げには向きません。

 硬くて手でやすり掛けがしにくかったり、広範囲で疲れたりという悩みが出てきてから検討すると良いかもしれません。

エアダスター

 やすり掛けを行った後に発生する削りカスを吹き飛ばす道具です。

 大抵は息を吹きかける程度で問題ないことが多いですが、細かい隙間に風を送りたかったり、息では飛ばないような挟まったカスを飛ばしたかったりするときなどに役に立ちます。

細かい場所や広範囲の削りカス掃除に。
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 下地塗りや塗装の際に使用するコンプレッサーをお持ちの場合は、エアーブローガンがあれば同様の効果があり、買い替えなくてよいので経済的です。

コンプレッサーとつなげてエアブロー用として。
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仕上げの段階で使う工具・材料

 粘土原型の作り込みが完了した後に、いろんな材料を使ってまだらになったり、ちょっとした凹凸が残ったりしている状態を美しく仕上げる段階です。

サーフェイサー

 サーフェイサーは細かい粒子の粉末が含まれた下地塗料のことです。

 原型制作が完了した後に、作品全体に塗ったり吹き付けたりして仕上げます。

 後の工程の複製段階で型から外れやすくしたり、塗装の段階で塗料の乗りをよくしたりすることが目的になります。

原型の最終調整に。型取り前の原型保護にも。
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 筆塗タイプのものとスプレータイプのものがありますが、一般的にはスプレータイプが主流だと思います。

 吹き付け塗装が環境的にやりにくかったり、既にスプレーガン、コンプレッサーをお持ちで、液タイプの方が使いやすかったりする場合は筆塗タイプを使用すると良いかと思います。

液体タイプサーフェイサー。グレイ
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サーフェイサー、塗料の希釈に。
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 薄め液で濃さを調整するとより塗りやすくなるのでお勧めです。

スプレーガン

 コンプレッサーと合わせて使用し、塗料を吹き付けるために使用する道具です。

 カップに塗料を入れ、トリガーを引くと圧縮空気に押し出された塗料が霧状になって均一に塗装することができます。

 スプレーガンで注意する点は口径で、吹き付ける塗料に含まれる粒子の大きさに応じて選ぶ必要があります。

 彩色用塗料に比べて下地用塗料は含まれる粒子の方が大きい傾向にあるので、サーフェイサーのような下地塗料にも使用する場合は、少し大きめの口径のものを選ぶと良いです。

 仮にGSIクレオスのMr.ホビーの液タイプサーフェイサー1000を薄めて使用する場合は、0.5㎜口径前後のスプレーガンで吹き付けられるかと思います。

サーフェイサー吹き付けに。TAMIYA製
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 溶剤に溶けた塗料を吹き付ける場合は、0.2~0.3㎜口径ほどの方が、塗りムラが少なく、綺麗に塗装することができますので、用途に合わせて使い分けましょう。

コンプレッサー

 コンプレサーは圧縮空気を作る機械で、スプレー塗装の際にスプレーガンに接続して使用します。

 ホビー分野だけでなく工業分野でも使用されることの多い機械で、大型のものはそれだけ空気の圧縮気圧や圧縮空気を貯めておける量が多く、吹き付け量が安定します。

 ただ、フィギュア等の小さい作品の塗装に使用する場合は、そこまで高い性能は要求されませんので、ホビー向けに販売されているコンプレッサーから選べばよいです。

 安いものではありませんので、選び始めればきりがないですが、模型用途で一日の長があるタミヤ製のものをから始めると比較的失敗が少ないかと思います。

圧縮空気を作るコンプレッサー。最初の一つに信頼のTAMIYA製
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  使ってみて細かいところまで塗料がいかないと感じたら気圧が高いものを、吹き付けの持続時間が短いと感じたらタンク容量の多いものを検討すると良いです。

まとめ

 フィギュア原型制作に使用する工具・材料について、工程別に紹介しました。
 粘土による原型制作では、乾いていない生の状態の段階、形ができて粘土が固まった段階、粘土での形が完成した後に仕上げる段階の大まかに3段階で使う道具、材料が異なってきます。

 特にヘラやスプレーガン関係などは、数がたくさんあったり、硬化だったりするものは、選びだしたらきりがなくなると思います。
 まずは1~3つほど手元に置いて、使いにくさを感じたらそれを補うものを買い足していくと、次第に自分独自のツールセットが組みあがっていくと思います。

 原型の作り方は人それぞれですが、その分使いやすい道具・材料も人それぞれですので、今回紹介したものに限らず、自分が使い易そうだというものがあればどんどん試していってください。

 本ブログでは、より詳細な材料の紹介や、粘土造形における細かなコツなどをまとめた記事もありますので、併せて読んでいただけますと幸いです。

この記事を書いた人

造形材料メーカーで十数年勤務を経験。
作品に最適な材料選定の一助なれたら嬉しいです。

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