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樹脂粘土とポリマークレイの違い【焼くか焼かないか】

焼かないポリマークレイってあるの? 樹脂粘土とポリマークレイって同じものじゃないの?
手芸分野などでよく使われる「樹脂粘土」とフィギュア分野などで使われる「ポリマークレイ」は大きな違いがあります。

ポリマーという言葉は「重合体や高分子」の意味で、主に合成樹脂で使用されることが多い単語です。

「ポリマー≒合成樹脂」でできた粘土というのは大筋で間違っていませんが、日本では「樹脂粘土」が指すものと「ポリマークレイ」が指すものが違うモノのことが多いです。

ここでは、それぞれどのようなものを指しているのか、説明していきたいと思います。

目次

樹脂粘土とポリマークレイの違い

 樹脂粘土ポリマークレイ
固め方自然乾燥 (焼かない)加熱 (オーブンなどで焼く)
作品分野 (主なもの)クレイフラワー、 フェイクフードなどフィギュア、人形、 アクセサリチャームなど
固さやわらかいかたい
樹脂成分主に酢酸ビニル系 (木工用ボンド系)主に塩化ビニル系
性質水性油性
収縮大きい小さい

 樹脂粘土は自然乾燥、ポリマークレイは加熱硬化というのが大きな違いです。
 また、主流で作られている作品や成分にも大きな違いがあります。
 樹脂粘土はクレイフラワーやフェイクフードなどの手芸分野で、ポリマークレイはフィギュア分野でも手芸分野でも使われる粘土になります。

 樹脂粘土は水が抜けた分作品が縮みますが、ポリマークレイは液分を蒸発させるわけではなく、油を樹脂の中に閉じ込めるようにして固めるので、樹脂粘土に比べて縮みが少なくなります。

 それぞれについてより細かく解説していきます。

樹脂粘土とは

 樹脂粘土はパンとボンドを混ぜて作ったメキシコの民芸品の材料(パン粘土)がベースとなっています。これで作られた花の作品をパンフラワーといい、一つの作品分野を築いています。

 市販されている粘土はパンではなく、小麦粉や澱粉の粉末成分のみが使われており、粉の種類や樹脂と粉の比率などで、弾力や透明性など特徴の違った粘土がいくつか販売されています。

 海外でこの「樹脂粘土」に該当するカテゴリの粘土はあまりなく、近い材料は「コールドポーセリン」といわれる澱粉とボンドを混ぜながら加熱して作る粘土材料に似ています。

 樹脂比率の高いものになると、乾燥後の透明感が出てくるので、花びらのような奥行きのある色調の作品や、フルーツの果肉などの透き通った作品を作るのによく使われます。

 国内ではサン工業(2024年1月に日清アソシエイツより事業譲渡)の「グレイス」が有名で、特に透明度の高いものではアイボン産業の「すけるくん」が特徴的です。

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 100均などで見かけることもある樹脂粘土はこちらのタイプの粘土であることが多いです。

ポリマークレイとは

 ポリマークレイは第二次世界大戦中のドイツで開発された、主に塩化ビニルを主体とした粘土になります。国内ではオーブン粘土と呼ばれることもあります。
 その名の通り、オーブンなどで100~200℃で焼いて固めることが特徴的な粘土です。

 硬化後の収縮が少ない為、フィギュアの原型や、アート作品など、成形した形がそのままの形で残ってほしい作品によく使われます。

 油と混ぜられた樹脂を他の原料と混ぜて粘土状にしたもので、加熱するまで固まらないので、油粘土の特徴と固まる粘土の両方を良いとこ取りした粘土といえます。

 国内に生産拠点はあまりなく、ステッドラー(ドイツ)の「FIMO」やポリフォーム(アメリカ)の「スカルピー」などが輸入されて日本で販売されています。

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 ユザワヤやコトブキヤなど手芸やフィギュア用品、画材などの専門店で売られていることが多く、100均や量販店、ホームセンターではあまり見かけることのないタイプの粘土です。

 樹脂粘土と比べるとかなり固いので、どうしても扱えない場合はパスタマシンのような専用の練り器を使用したり、柔らかくするための液(クレイソフナー)を混ぜ込んで液分を多くすると良いと思います。

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 寒い時期は人肌程度の温度に温めるだけでも少し練りやすくなります。

まとめ

 樹脂粘土とポリマークレイの違いについて説明しました。
 名前だけ見ると同じようなものに見えますし、片方だけ知っていてもう片方の名前を聞くと「同じものなんじゃ…?」と思うこともあるかと思いますが、実際のものは全然違い、作る作品の性質も変わってきます。
 少し乱暴ですが、樹脂粘土は女性向け、ポリマークレイは男性向けという印象です。
 もちろん、樹脂粘土を使って素敵な作品を作る男性も、ポリマークレイでモダンなアクセサリーを作る女性もいますので、一概には言えませんが、粘土の固さや得られる性質から、上記のような傾向にあることは確かです。

 樹脂粘土がよくつかわれるクレイフラワーとポリマークレイがよくつかわれるフィギュア原型については、それぞれ他にも使われている粘土や特徴をまとめていますので、興味がある方は覗いていってください。

この記事を書いた人

造形材料メーカーで十数年勤務を経験。
作品に最適な材料選定の一助なれたら嬉しいです。

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